『原点 THE ORIGIN』という本
安彦良和・斉藤光政 著『原点 THE ORIGIN』です。幾つか手に取ってみようと思った理由がありました。
最初目を引いたのは、やはり表紙の絵。(ちなみに反対側の表紙はシャア。)これだけでも団塊ジュニアである我々の世代には惹かれる要素満点です。
そして、最大の理由が自分に取って「謎の世代」であった「学生運動を展開していた世代」がテーマになっていること、でした。
自分にとっての「謎の世代」
1969年から71年にかけては、70年安保というくくりで多くの学生運動が展開されていたのは、若い頃から知っていました。しかしあまり情報が多くはない。
自分が大学生になったのは92年ですが、まだキャンパスには立て看板がおかれていて、たまにヘルメット被った人が叫んでいたりしましたが、当時はすでに少数派になっていました。むしろ「ああなってはいけない」人たちの象徴のように語られていた節はあります。
とはいえ、自分たちより20数年前は多くの学生の共感を得ていた動きであったはず。何故、何にそんなに学生は怒っていて、どうしてそれが急に終息したのか、と漠然と疑問に思っていました。
だから、ということも無いのですが、学生時代に接点を持ってくださっていた先輩方にお話を聞こうとしたことは何度もありました。ても、「あー、いたねー」とか「俺はノンポリだから」という以上に話は盛り上がらない傾向がありました。
その理由の一端も含めて、この本では解説されているように思いました。
自分たちとの意外なつながり
残念ながら(?)学生運動は社会を変革しきること無く、終焉を迎えました。その間のできごともある視点から記述してあるので、”若者から創り出す社会ムーブメント”のエネルギーとその危うさも、年を重ねて見ると理解できるものでした。
そ してその自分とは「無関係」な団塊の世代の人たちの一部が、学生運動から舞台をサブカルチャーに移したということが分かりました。いわゆる戦後世代が戦争 を考え、その反動で学生運動を行って、その中で感じられたことなどが、このガンダムに結実しているという側面を見て取ったのです。
そのサブカルチャーが結果的に僕たちを含む当時の若い世代の心をとらえ、いまや日本から世界への発信コンテンツの代表にまでなっているわけです。
これまで全然無関係な人たち、と思っていた人が意図してかせずかは分かりませんが結果的に少年時代に自分がかじりついていたものたちを創り出していたことを知り、ちょっと衝撃を受けながらも、なんか繋がりを感じました。
僕たちは団塊ジュニア。ってことは?
そして、最後にもっとも衝撃を受けたのは、次の事実でした。
それまで「遠い、とおーい過去の異人種」で「歴史の奥のテレビ画像の人たち」だと思っていた人たちと自分とは大体一世代、25年違いです。
で、自分がことし44歳を迎えようとしていて、そこから25年を引くと19歳。今の大学生の世代です。
ってことは、身近(?)だと思っていた学生からすると、自分は、当時自分が見ていた「団塊の世代」に相当することを明確に認識したのです。
いちおうアタマでは分かっていたのですけどね。
ますます、人を自分と同じ価値観で見ては行けないな、と思ったり、次の世代に何が残せてきたのか、と思ったり。
とはいえ、できることしかできないのは事実ですので、僕個人としては、自分がキャリアをかけてやろうと思っている「ホワイトカラーの効率性向上」のために、引き続き淡々とすすんでまいりたいと思います。
皆さんはこの本、どうお感じになるでしょうか。