「FAAMG」ってご存知ですか? B2BオンリーからB2Cマインドを持った組織へ

こんにちは。

時価総額ランキングトップ5: "FAAMG"

FAAMGという表現をご存知でしょうか。

実はまだ定着した表現ではないようなのですが、2017年時点の世界の時価総額ランキングの上位5社の頭文字をとったものです。(順番は入り繰りあります)

世界時価総額ランキング2017 ― World Stock Market Capitalization Ranking 2017

すなわち、

Facebook, Apple, Amazon, Microsoft, Googleです。

もともとこの5社の特徴と、自分が所属するIBMとの比較を常にしていたので、この5社をまとめて表現するものがないかと探している中で見つけたものです。

1社ずつ個別に挙げて行くと、5つ全部思い出せないんですよね!たいてい4つまで思い出して「あとなんだっけ?」となるので、いい表現をさがしていました。

日本語のカタカナでこのFAAMGをうまく読むよみかたも定着していないようです。「ファーング」といった所でしょうか。

口頭で表現するとファーングなので、もともと伸び盛りの株を示した市場用語であった「FANG」(Facebook, Amazon, Netflix, Google)の方が有名であったようで、新聞記者の方にFAAMGというと、FANGですか?と聞き返されたこともあります。

個人向け(B2C)と法人向け(B2B)の違い

で、なんでこのFAAMGの5社に注目していたかというと、組織としてのそのスピード感、組織文化です。

もう少し詳しく言うと、この5社の共通点として個人すなわちコンシューマーを強く意識した商品・サービス(B2C)を展開しつつ、対法人向けビジネス(B2B)でもうまくやっている点です。

この2つのビジネスの比較がなんで今重要かというと、その環境変化が起点になっています。

かつては法人に所属していないと得られなかったような情報が、今では個人でも安価・瞬時に手に入ります。同じように企業経由でしか発信できなかったような情報を個人が世の中に広められる時代です。

そして法人の中の意思決定者も、どの人をとっても個人としての側面を持っているひとりの人格ですので、個人として生活する中で持った印象や情報をもとに組織の中で意思決定を下して行きます。

ですので、いざ、組織のなかでのポジションや責任に応じた意思決定をするときも、日頃接している情報が大きく影響してくるわけです。

B2Bビジネスであっても、この変化に対応して行く必要があります。

実際には、たとえば新しい製品・サービスが世の中に送り出される時、20世紀であれば、まずは本国だけで本国の言語で出して、様子を見ながら売り上げが見こめるマーケットの見こみ顧客を見極めます。そしてビジネスとして行けそうであればそのマーケット向けの言語や仕様を備えた製品・サービスをつくり出すというある意味ゆっくりした方法が定石でした。

これは、比較的大規模な年間予算をもとに年次サイクルで回っているB2Bビジネスの常道であり、少ない投資で大きなリターンを得ることのできる低リスクな方法だったのです。

顧客側も、組織として熟慮をかさね、諸々検討する時間をとれることもあり、そのスピード感で全く問題ありませんでした。

一方で、個人・コンシューマーは購買意思決定はかなり反射的にその場で行われることが多いのです。「あ、コレ面白そう」「あ、この感じいやだな」で決まります。

コレに対抗するためには「初見」の時点で一定以上のクオリティを保っている必要があります。

たとえば新製品・新サービスであれば、発表の第一日目からほぼ世界のマーケットを網羅する言語に対応している必要があります。

すくなくとも「日本語はいつ出ますか?」の回答にこたえられる計画がある必要があるわけです。

そうしないと、二度と見向きをされません。

iPhoneに日本語が無かったら、日本では多くの人が買いませんもんね。

B2Cビジネスの強みをB2Bにも

これにちゃんと対応できているのが、冒頭にコメントしたFAAMGの「スピード感」です。そして同じスピード感・ブランドネームでB2Bビジネスに対応しているので、個人消費者の顔を持っている組織内の意思決定社は、同じ感覚・印象でビジネスを進めて行けるのです。

それにともない、当然多少犠牲にしているのが「確実性」です。かつてのB2Bの年次予算スピード感であれば、じっくり良いものを作って、確実におとどけしないといけない、という考え方でした。

しかし今は多くのデバイスがCloudでつながっているため、一旦発売したソフトウェアやサービスをあとから遠隔でバージョンアップすることが可能です。まずは、出してみて適宜修正して行くというアプローチが可能になったわけです。

ですので、多少この「確実性」を犠牲にしても、まずは個人消費者の目につく、印象の良いものを早めに市場に出すことを優先することが従来よりも重要になっているのではないかと強く思うのです。

FAAMGだけではなく、時価総額ランキングの上位にくる会社はかなりの確率でB2Cビジネスで鍛えられた組織であることが多いです。

逆にB2Bだけでやってきた会社の(時価総額上の)凋落ぶりは目に余るものがあります。もちろん、この傾向が永遠に続くわけではないとは思いますが、現時点では、組織としてB2Cビジネスから学んで変化して行く必要があるのではないかと思います。

具体的には例えば、新製品を発表する時にはそのローンチのDay1から主要言語を網羅したものを出すべきなんでしょうね。

今回は、ホワイトカラーの生産性という本稿のテーマとは少しだけ離れていますが、日頃B2Bオンリーの会社と接する中で、そんなこと(はっきり言うと危機感ですね)を強く思ったので、書き留めておきます。

みなさんはどう思われますか?

 

 

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某社社屋より、雪景色を望む