アップルがアップルたるゆえん 〜映画「スティーブ・ジョブズ」〜

こんにちは。

機内エンターテイメントでの偶然の出会い

先日アメリカ出張に出かけてきたのですが、アメリカ出張につきものなのは12時間超に及ぶ長時間フライトです。個人旅行も含めて、今までいかにこの長時間フライトを効果的に過ごすかを考えてきたのですが、これだ!というものを見つけられていません。
睡眠に徹したり、お酒を一切取らず頑張って仕事をしたり、色々試してみたのですが、やっぱり行った先では時差ボケは出るし、どうしたって機内は狭いし、どうにもなりません。
なので最近は思い切って機内エンターテイメントの映画を楽しむ、と割り切ることにしています。
そうすると、普段手に取らないものや時間の都合で見に行けないものに出会ったりします。そこで今回いくつも見た中で特に印象に残ったのが「スティーブ・ジョブズ」というタイトルの映画でした。
 
何年か前に出でた同名のものだと勘違いしたのと、その時、それほど評判にならなかったと思うので往路では他の作品を見ました。
復路も同じラインナップだったので、3本目あたりで消去法的に見た、というのが背景です。
作品との出会いというのはこういう偶然があるもので、個人としてはそれなりの衝撃を受けた作品でした。
概要とか、ジャーナリストの目から見たコメントは以下のリンクがよくまとまっています。

wired.jp

このまとめにも記載されているように幾つかフィクションを交えているようですが、ジョブズらしさをよく描ききれているということでもあります。
大半のシーンは舞台袖と楽屋の場面なのですが演技に迫力があって全く飽きがこないのです。また、よく考えられた構成でした。

組織人として見ると

見る人によっていろんな見方があるとは思いますが、やはり組織で働く者である僕はその目で見てしまいます。
僕としての感想は…
まず、ジョブズというのは僕が想像していた以上に「ひらめきとこだわり」の人だったんだな、というものです。自分が実現したい世界を描いて、それにこだわり続ける。すべてをそのために注ぎ込むので、何気なく目にしたものからでも突然のひらめきが降りてくるようです。そのひらめきを実現するためには「こうすればよかったなぁ、けどもう遅いな」ではなく何が何でも実現するんだ、というこだわりを持ち続けたのです。
印象的なシーンでは、他人が来ているシャツからある着想を得てプレゼン20分前に「今から俺に合うこのシャツを持ってこい!方法は問わない。いいからもってこい」と言い放つ場面です。
どうしてもそれを使った演出がしたかったようです。
周りにこんな人がいたら大変だなあとか、自分にはできないなあ、と言うのが正直な感想でした。
一方で、こうでなくてはアップルの今は無かったんだろうなあ、とも思いました。やはり常人ではできないことをなした人はどこかで圧倒的なものを持っているのですね。

そうは言ってもやはり...

また、その「ひらめきとこだわり」のために多くのものを犠牲にしている姿も描かれていました。
有名なアップルからの追放は、その最たるものの一つです。
途中では「やはり何かを成し遂げるためには大切なものを犠牲にしなくてはならないのか…」と少し辛い気持ちになりましたが、終わりの方では家族や仲間の事を以前よりは考える姿が描かれ、それに伴いiMac以降我々の記憶に新しい地に足のついたビジネス的な成功につながる布石も見て取れたので、なぜか安心してエンディングを迎えることができました。
ビジネスの成功のためには「ひらめきとこだわり」は有効に武器ですが、組織や社会を動かすためには周りのことを大切にした方が結果的により偉大な仕事ができるんだな、と言うのが個人的願いも込めた僕にとってのこの映画の結論です。
 
で、帰国して世間との交信を取り戻したところどうやら僕が見た映画スティーブジョブズはまだ公開中の映画らしいです。それなりにインパクトもあるようです。
是非皆さんもご覧になってください。感想を交換したいです。どう思われるでしょうか。
f:id:eitarokono:20160214101457j:image