逆境体験の意義って? 〜経験の「結晶化」とは〜

こんにちは。

スキーのベテランインストラクターの言葉

あるベテランのスキーインストラクターから、”教えやすい”クラスの特徴を聞きました。
その人は中学の修学旅行や研修旅行に来たツアー客を中心に教えることが多い人だったのですが、スキー初心者向けのスクールを長く担当されてた人です。
曰く、
①いわゆる受験を経た経験のある生徒
②スキー以外のスポーツを一定以上やったことのある生徒
が共通して教えやすい、ということでした。

①については、やはりインストラクターの話をよく聴く点と、それを素直にやってみる点だそうです。
②については、同じように言われたことはまず試してみる点は共通でした。加えて体幹がしっかりしていることが多く、競技上のポイントが何かを理解するのが早いということでした。
特に②の層については、多くの場合、スキー合宿が終わる頃にはスキーだけの経験者を超えるほどのレベルまで上達し、放っておいてもどんどん上手くなる、ということでした。

なるほどー。

仕事における過去の”経験”

でもこれって、仕事にも通じるものってないでしょうか。
もうすこし具体的に言うと、分野は違えど何かに一生懸命やって、ある程度極めたという経験がある人と、そうでない人の違いに似ているな、と。

一生懸命やってある程度極めた経験というのは、単なる経験年数の長さはもちろん、よく苦労話で言われる”単なる”辛い経験で得られた質を軽く凌駕するな、と思う瞬間って多いのです。

得てして、何かに秀でた人を見て「あの人は天才だから」とか「もともと高い能力があるから」と言って片付けてしまったりする人いますよね。ひどい時には「あの人にはでき ない人や弱い人の気持ちはわからない」といって逆に何か悪いことでもしているかのように扱ったりして何も学ぼうとしない姿勢の人すらいます。

これって、正しい姿勢ではないですよね。

なぜその人は、新しいチャレンジにも能力を発揮するのか、早い段階で追いつくのか。これを考えてみることが未来志向の姿勢だと思います。

なんででしょうね?

僕が考えるに、これは単に大変なことをやるとか厳しい環境に耐える、ということそのものには全く意味はなく、どんなことでも何かを極める過程で各種の課題を解決したり、人とのやりとりを学んだりという汎用性の高いテクニックを得る機会になると言うことでしょう。

そもそも何かを一生懸命やる、というのは目標をもって何かに取り組むという期間を経る経験を持つことそのものです。

これが、かつてリーダーシップ育成に「逆境経験」を求める企業があったり、体育会のリーダーや高業績者を優先的に新卒採用してきたことにつながっていたのではないかと思います。(表面だけの運用が多かったため逆効果の例も多発しましたが。)

実は、最近、もと軍隊経験者の外国人の同僚と接点をもつ機会が複数回あったのですが、やはり軍隊の経験はリーダーシップやチームワーク、敵へのアプローチなどの観点からビジネスに大いに役に立っているということを言っていました。それを感情論、根性論ではなく論理だって説明してくれました。

自分自身のキャリアをより目指すべき方向に向かわせるためには、今の仕事に真摯に取り組み、ほんの少しの経験であっても別の場面でも応用可能な”能力”へと”結晶化(Crystalize: 具体化)”するということの繰り返しがとても効果的であるという良い例だと感じました。

この”結晶化”のために必要なことは、同じ仕事をするにしてもすこしだけ視点をかえてやってみるだけでいいと思うのです。

過去の経験を”結晶化”させる

例えばこんなことってないでしょうか。
・日々の仕事を与えられるままに漫然とやっている
・誰か or 何かに対して不満をもったままやりつづけている
・仕事をこなすことのため、とか四半期のインセンティブのため、という近視眼になっている
・チームのなかで「いい人でありたい」とか「嫌われないこと」が優先順位の高い位置を占める
・自分にはXXがない、でもあの人は⚪︎⚪︎があるから自分には不利だ、などと考えている
などなど。

こいうのって、明らかに自分の経験という貴重な宝物を、作り出した途端にゴミ箱に捨てている典型です。
宝物は、せっかくだから結晶化して、再利用可能なかたちで持っておきましょう。

置いて置くスペースは自分の頭か心の中ですから容量制限はありません。

結晶化の作業ってそんなに難しいことではありません。

「あの時はうまくいった」「とかあの経験は大変だった」だけで終わらず、「なんでうまくいったんだろうか?」「次に活かすには、どのポイントが有効だろうか」とか「人に伝えるとしたら、どの部分が皆さんにとって意味があるだろうか」という視点で振り返ってみるだけでいいのです。

文字通り、そんなに難しいことでも、とんでもない努力や才能が必要なことでもありませんよね。

その割には重要なことだったりしますので、やらない手はないはずです。

皆さんはどう思いますか?

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