こんにちは。
議論が空中戦になったとき
皆さんは、会議でホワイトボード(フリップチャート)を使いますか?
使うとしたら、どんな時に使いますか?
多くの場合、考えていることを人にわかりやすく伝える時に使うと思います。
人にわかりやすく伝える必要がある場合というのは、大抵は皆がすでに知っていることを題材にしている時ではなく、何か新しい考えをひねり出したり、相手にとって初耳のことを教えたりする時に必要になります。
認識合わせの時にも使ったりしますよね。
もちろん、パワーポイントやグーグルスライドなどでもできなくはないのですが、もし顔を合わせて同じ空間にいるのであれば、やはりホワイトボードやフリップチャートのスピード感や臨場感、柔軟性は一日の長があると思っています。
で、逆の視点から見ると、もし顔を合わせる会議が行われる会議室に、ホワイトボードもフリップチャート無いのであれば、そこでは何も新しいものは生み出されていない、単なる報告や情報共有の顔合わせしかしていない、ということになります。
皆さんの組織はどうでしょうか?
会議室に書いて議論する施設はありますか?
「優秀なプロジェクトマネジャーの条件」
これに関連して少し思い出した話があります。
僕は以前、ある会社で人事系部門にいた時に「プロジェクトマネジャー(PM)育成タスク」というのを担当したことがあります。
業界でも顔の利く、大物5名を選んでもらい、ヒアリングして回りました。
どんなPMが優秀な人で、そういう人はどうやって育ってきたのか、というのを別々の場でじっくり話してもらいました。
それぞれが、超一流の人だったので、それぞれのご意見があります。
「プロジェクトは始まる前から成否が決まっている。いかに計画を詳細化したかが勝負だ」とか「メンバーとのコミュニケーションが重要だ」とか「お客様の期待値をちゃんとキャッチしてコントロールするかが一番肝心」とか。
印象的だったのは、5人が5人、
「優秀な奴は、立ってホワイトボードに書き始める」
と言っていたことです。
僕はこの時、なるほどな、と思いました。
おそらくプロジェクトではいろんな課題やリスクが存在します。それをうまく方向づけるのはPMの役目。
いろんな解釈や対立があることでしょう。
そこに
「つまり、こういうことですね?」
と言ってホワイトボードを使う、という感じなのでしょうね。
ホワイトボードのない会社
さて、少し話を戻します。
実は僕は過去にホワイトボードのない会議室ばかりの会社にいたことがあります。
この会社は、多くの人がクライアント先で働くのでクライアント側にはあるのでしょうね。
それに(ちゃんと考えている役員の)役員室にはちゃんと設置してありました。
また、デザインシンキングを披露するためのフロアには設置してありました。
しかし、多くの会議室にはホワイトボードはありません。
すなわち、上の論法で言うと、この会社にいるときは基本的に新しいことを議論もしないし、課題を解決することもほとんど無い、ということになります。
デザインシンキングも披露する時だけ使って、普段は特にやってないと言うことになります。
もちろん、僕もそのフリップチャートの無いフロアの一員でしたので、
「フリップチャートかホワイトボードを導入しましょう」
と提案しました。
答えは
「会社としてはコストがかかるので、廃止した」
でした。
「じゃあ、僕らの部門だけでも導入しましょう」
と、当然言いますよね。
その答えが
「他の部門が勝手に使うと、うちの部門が損をする」
と言うものだったので、僕はその時点で気絶をしました。
部門長の任命というのは、本当に重要なことだと感じた瞬間でした。
Creativeな仕事をするという目的で提案したのですが、この目的を達成できなかったのは、ここで引いてしまった僕の責任です。
思考しないことに慣れてしまった人を説得してまで、ホワイトボードを設置する努力に使う時間は僕にはありませんでした。
ファシリティって意外に大事
人や組織の行動は、一見その所属メンバーの内側から出てくるようで、実は環境にもすごく左右されます。
確実なデータを持っているわけではないのですが、皆さんも経験的に賛同いただけるでしょう。
ホワイトボード一つとっても同じことだとおもいます。
人がなぜ企業に集まって仕事をするかというと、コラボレーションをするためだからです。
ホワイトボードやフリップチャートはその要となるツール。もちろん技術の進歩でそれに代わるツールは出てきているので、モノそのものにこだわるわけではありません。
が、やはり物理的な会議室を使っているなら、そのようなツールはあるべきなのではないかと。
よりクリエイティブな、建設的な、未来志向の議論をするために。
皆さんはどう思われますか?