こんにちは。
平泳ぎのルールは「左右対称」
本稿の過去記事を見ていて、競泳の個人メドレーとメドレーリレーの種目の順番のちがいについてコメントしたものを見つけました。
そのときに、また得意の連想ゲームでバタフライが生まれてきた経緯って、これまた意外に身近なイノベーションだよな、つまり、実務や生活で使えるよなって思ったので、ここに書いておこうと思います。
もともと、競泳の種目は主に3種目でした。
平泳ぎ、背泳ぎ、自由形(≒クロール)です。
ルールはとてもシンプルで、
平泳ぎ:左右対称であること
背泳ぎ:ずっと上を向いていること
自由形:それ以外。
だったわけです。
ルールの範囲でのイノベーション
20世紀の始め、このルールの範囲でオリンピックが開催されていたのですが、タイムを上げるために必死に努力する人の中で、いろいろなことを考える人が現れ始めました。
その中でも最たるものが、このバタフライ誕生秘話です。
要するに、
「平泳ぎは左右対称なんだから、手をかく時に、現在の平泳ぎのように手を前に持ってくる時に水中を経由するのではなく、空中を経由すれば水の抵抗が少なくてすむわけじゃん!」
と考えて、猛烈な訓練をして実現してしまったヤツがいたのです。
上記のWikipediaによると、オリンピックでは1928年のアムステルダムで銀メダルをとった選手が最初らしいです。
それで、あれよあれよと記録がのびて、1952年のヘルシンキオリンピックではほとんどの平泳ぎ選手が現在のバタフライ的な泳ぎになったそうです。
「これって、別の種目じゃないの?」
ということで、現在の平泳ぎ(手を水中経由で前に戻す)と、バタフライ(手を空中で前に戻す)という2種類の左右対称の泳法が出来上がったというわけなのです。
実際今では男子の100Mの世界記録で見ると、バタフライは平泳ぎよりも8秒近く速いタイムになっています。
ここでのポイントは、同じルールのなかでも少しだけ視点を変えてみると、出来ることっていろいろあるんだな、って思うんですよね。
これって、あるいみすごくないですか?それでいて、コロンブスの卵じゃないですが、やってみたらそんなに難しいことでもない。
ただ、気がついて、実行するだけ。
イノベーション向きの日本人!?
「決まりだから、こうしないといけない」とあきらめてしまう前に少しだけ立ち止まって考えてみると何か余地があるのではないかと思うのです。
状況に対して後追いで、公的機関(競泳だったら国際水泳連盟)にルールをつくらせるくらいの話になれば、武勇伝ですよね。
ちなみに、上記のバタフライの件でも、いわゆるドルフィンキックを考えだしたのは日本選手だった、と言われているそうです。
それ以外にも、平泳ぎで潜水泳法で記録を伸ばしたのも日本選手でした(後に、常にアタマを水面に出していなければならないというルールができました)。
背泳ぎのバサロキックを30メートルやって金メダルをとったのは現在のスポーツ庁長官の鈴木大地さんですし、同じく30メートルのドルフィンキックをやって世界を驚かせたバタフライ選手も日本人でした。これも後にルールで15メートル以内などの制限が設けられました。
ビジネスの実務の中でも、なにかそういうことって見つけられませんかね。
私の知っている大先輩で、契約書一枚につき与えられるインセンティブが発表されたときに、お客さんと交渉して案件を百分割して契約書百枚作ってたくさんインセンティブをもらったツワモノもいらしたそうです。(あ、委細はシンプルな例にしてあります。念のため)
もちろん、翌期からルールがアップグレードされましたが!
ルールの範囲内で工夫する、って僕たち日本人に向いているのかもしれません。
皆さんの周りにも、そんな例って無いでしょうか?