当時「パソコンも持ってないのにWindows95を買った人」を笑えない

こんにちは。

働き方改革時代の一つの解決策:Watson

今、僕はIBMの中で、Watson Talent と言うブランドを国内に展開するチームに所属しています。

簡単にいうと、IBMのAIであるWatson を人事業務(特にタレントマネジメントと呼ばれる部分)に適用するためのソフトウェアツールとその周辺の製品、サービスを販売してるわけです。

Watson というとかなりブランドが確立しているため、おかげさまで引き合いは多く、ご紹介する機会は事欠きません。

機会をいただき、説明した後に、出てくる反応は大きく3つ。

①いやあ、まだまだうちはこれを投入するレベルにないですわ〜。そもそもデータがないので。

②あら、買ったらすぐに人間の代わりをしてくれると思ってたけど、意外に手がかかるのね。

③他社は導入してます?

①が一番多い反応で、もっとも危機感を持つものです。

「腰が重い」状態に危機感をもちます

ここでは①についてコメントします。

このパターンが典型的な反応なのですが、レベルにないのであればなおさら今着手しないとマズイです。

何でもかんでも欧米が良いとは思いませんが、人の能力やポジション、エンゲージメントのデータなど、欧米企業はその成り立ちから、既に蓄積したものが存在しています。

既にAIを人事領域に適用する土壌が備わっているケースが大半なのです。

すぐにスタートできる環境が備わっており、水面下では既に適用が始まっています。

これが、いざ表面化してからいきなり何の土壌もない企業がAIを購入しても、間に合わないわけです。

これ、1995年当時MicrosoftWindows95が大ブームになってあちこちにこれを求める大行列ができた時の状況に似てます。

頑張って並んで購入したWindowsの箱を家で開けて見たところ、CD−ROMが入っているだけで、どう使うか分からない、という苦情が販売側に殺到したとか。その多くの人はパソコンすら持っていなかったと。

我々IBMのWatson Talent チームが、ありとあらゆる場を使って発信しているのが、この状況を少しでも早く回避するための策です。

先ほども書きましたが、ポジションの定義を書いた記述書、そのポジションに求められる能力といったものを形式知化する必要があります。同時に従業員がどの様なポジションを経験し、どの様な能力を持っているかも形式知として持つ必要があります。

まずはそこから着手することをオススメしています。それがないとAIは、AIにとっては単なるデータにすぎない「従業員」に対して、次のポジションを提案したり、研修を推奨したり、というサービスをする前提が揃わないわけです。

まずは一歩踏み出さないと

これは今まで日本企業の人事が終身雇用を前提に、長く培った経験と勘、ネットワークでうまく回って来た証拠でもあるのですが、多様性がまし、人材も流動化していく中ではこれが通じなくなるわけです。

つまり

「元気で明るくて、器用な若者いない?」

「あー、それなら、◯◯君が良いだろう。いま、仙台支店かなー」

で回っていた人事をAI にやらせるのは難しいということです。

「それで良いんだ、ウチは」という声も聞こえて来そうですが、かたや

「世界中から客観情報に基づいてコンマ何秒で候補者をリストしてくる企業」

と、

「かたや一部の人の経験や勘に従って数日かけて作成される情報にたよる企業」

では、意思決定のスピード、品質、コストは桁違いなのは明らかですよね。

数字に基づく意思決定っていうのは、単なるStyleの話ではなくてSystemやStaff, Skills などの多面から行われるべきひとつの大きなトランスフォーメーションなんでしょう。

 ②、③のケースも合わせて総括すると、まだ早い、という判断をして横なだび意識で何もしないでいると、いざ本格的にスタートしようとしたときには、パソコンもないのにブームに乗ってWindows95を買うために行列に並んだ人を笑えない状態になりかねません。

少しでも早く、多くの日本企業の人事の皆さんがこれに気づき、気づくだけじゃなくて行動に移してくださることを願ってやみません。

みなさんは、どの様に思われますか?

(一応これも「個人の意見」です。念のため)

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