「傍流」を「本流」に変えられる組織 〜Watson Summitを終えて〜

こんにちは。

今週IBM Japanにとって年間最大のイベントであるWatson Summit 2017が実施されました。

内容の詳細はこちらをご覧ください。

IBM Watson Summit 2017 | IBMイベント・ポータルサイト

社員側でありながら、ものすごいイベントだったな、と思います。

内外の注目度合いも、初めてWatsonの冠を戴きインパクトも高かった昨年と比べても圧倒的でした。改めて内輪ながら企画立案に関与したメンバーに敬意と感謝の意を表したいと感じています。
(社内的には、これだけの投資を回収すべく現場の我々が動く番ですね...)

Watsonの沿革

ここから先が本題です。

大盛況であったとはいえ、Watson事業は最初からIBMのビジネスの根幹であったわけではありません。
社員として初めてこの”Watson“の名を耳にしたのは2011年でした。

www.ibm.com当時の社員としての僕たちの反応としては「これは何か仕事と関係あるのだろうか?」「なんでこんなことで騒いでいるのか?」「この忙しいのに、何故こんなことにお金を投資するのだろう?」といったものが主流だったようにおもいます。

というか、そもそも大半の人が一般報道と同じ扱いで解釈していました。

ところが、CEOレターなどでコメントされていたり、”Watson事業部”が設立されはじめました。

それでも

「あー、海の向こうの話なんだろうな」

というのが空気でした。

そして、そのうち日本でも導入事例の報道が出始め、「Watson事業部」ができるとの報が。2014-2015年あたりでしょうか。

この辺りから、どうやら会社も本気らしい、という空気が出てきました。

報道も加熱し始め、いろいろな企業が人工知能というキーワードでのコミュニケーション活動を開始し始めたのが2016年頃でしょうか。

その空気をリードするように、それまで別の名前で実施していた日本IBMのイベントも2016年からWatson Summitと言うようになりました。

とはいえ、それでも、それでも、それでも会社の収益の主流は既存のビジネスが中心でした。

「傍流」から一躍「本流」へ

そんな時代を通じて今があります。そして今回の大盛況のWatson Summit 2017。

今のWatsonに繋がる基礎研究は2005年頃から始まったそうです。

そのころのメンバーですら今を具体的に想像していたでしょうか。おそらく希望は持っていたものの、想像はできなかったのだろうと想像します。

日本でも初期にWatson事業にかかわった人たちも、確信に近い将来展望はあったかもしれませんが、今程の自信ではなかったはずです。

まさに面目躍如といった感じなのではないでしょうか。

必ずしもWatsonのケースに全て当てはまらないかもしれませんが、ここで僕が思いうかんだキーワードが「傍流」という言葉です。

Watsonは今でこそ会社の柱として正式に戦略やビジョンの中に位置づけられています。しかし敢えて言えば、それまでの中心はシステムインテグレーションやパッケージソフトウェアの導入支援といったサービス事業でした。

これらのビジネスの方が規模が大きいですし、優秀人材も集まっておりまさに「本流」と言われた時期が長く続いていたのです。

そちらからはWatsonは「傍流」とみられていた感は否めませんでした。

しかし振り返ってみると、1990年代、大きくIBMがサービス事業に舵を切らなければならない時には、ハードウェア事業からは、サービス事業が「傍流」と見られていたわけで、なかなかその変革が進まないためにPWCコンサルティングビジネスを2002年に買ってテコ入れした歴史があります。その音頭取りをしたのは現CEOのジニー・ロメッティーだったわけです。

あまり表には出ませんが、やはり業態転換を図る時にはいろいろな抵抗や、それに伴う摩擦がありました。

「傍流」を「本流」に変えられる組織が残る

歴史は繰り返すといいますが、大きく業態転換を図る時にはいろいろな歪みがあるとともに、必ず「傍流」扱いされる将来の「本流」があります。

この「傍流」を「傍流」のまま潰してしまわず、または潰さないまでも立ち上がるまでに不必要な時間をかけず、着実に育てられる組織が環境変化にともなう変遷を生き抜いてこられるのだな、と思ったわけです。

皆さんの周りにいませんか?将来の「主流」を「傍流」だと言ってないがしろにし、潰しかねない現在の「主流」の人たち。もしくは「傍流」すら立ち上げられない人たち。

だいぶ遠回りな論理展開になりましたが、大盛会になったWatson Summit 2017を通じて感じたことでした。

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