「学問のすすめ」は仕事術の本です。

こんにちは。

三作目の著作を出版しました

実は先週後半、オリジナルとしては三作目となる「現代語訳 学問のすすめ」を出版することができました。

現代語訳 学問のすすめ | 福沢 諭吉, 河野 英太郎 |本 | 通販 | Amazon

グロービス知見録でも紹介の場をいただき、背景や概要についてはここで簡単に述べさせてもらっています。

globis.jpこの週末書店を回ったり、読者の方々からの声をいただく中で複数いただいた反応があったので、ここでご紹介したいと思います。以下のような反応がありました。

①「なんで、これを書こうと思ったの?」という意見。

②なぜか、書店では「思想」「哲学」「日本史」のカテゴリに陳列してあるという現象。

③「あの、これ武田鉄矢さんの著作に見えますけど」というコメント

なぜ僕が書くのか?

①については、要するに福澤諭吉研究者でも、慶應義塾の関係者でもない僕がなぜこれをかくのか?という疑問ということです。

これについては、上記グロービス知見録の中でも述べましたが、この「学問のすすめ」は明治初期に書かれ、一説では300万部市場に出回ったと言われています。当時日本の人口が3000万人だったということですので、10%の人が手に取ったということです。今で言えば1200万部程度。これはすごい数です。

その事実を知った時、非常に強い興味を持ちました。多くの人が手に取ったその理由を知りたかったのです。

実際に読んでみるとまさに日々の仕事に生きる具体的方法論や心構えが満載です。これはもっと多くの人に読んでもらうべきじゃないか、と直感的に思えたのです。

しかし原書の文体は、発刊当時は非常に平易な言葉遣いだったと言われていますが、今の言葉とはかなり異なる表現方法でした。いくつか出ている現代語訳も、SNSと比べるとかなり難易度の高い高尚な表現となっていました。

多くのビジネスパーソンは、労力を伴う読書はなるべく避けたいと思う気持ちがあることは同じ立場としてよく理解できます。

これをいかに平易に、面白く表現するかにチャレンジしてにたいと強く思ったわけです。そして、完成の暁には本来福澤諭吉が目指した読者層である初学生(今で言えば中学・高校生でしょうか)が読んでいる姿を見て見たい、とも思うようになったのです。

あとは、自分がキャリアをかけて実現したいと思っている「ホワイトカラーの働き方改革」に大きく資する仕事になるという確信があったことも一つの原因です。

仕事術の本なのです!

②については、なんか複雑な気分です。もと文学部の人間としては、自分の著作が憧れの「思想」「哲学」「日本の歴史」などのコーナーに並ぶということはなんか誇らしいです。しかし原著者の意図に反しているのは明らかです。そして何よりも多くの人の目に触れやすいのはどこの書店でも最も読者の目に触れやすい位置にあるのがビジネス書コーナーです。そこに置いてもらえるようにプロモーション活動に励んでいきたいと思います。

ちなみ、17個ある各編の副題は以下のようにつけました。いかにも仕事術の本ですよね。

初 編 学んだ人から出世する
二 編 個人と組織は対等
三 編 全員が当事者意識を持つチームは強い
四 編 まずは自分から変わりなさい
五 編 一人ひとりが「独立心」を持つ
六 編 ルールを守る
七 編 全員がメンバーでありリーダー
八 編 他人を尊重し自分も自由になる
九 編 お金のためだけに働かない
十 編 現状に満足しない
十一編 無意味な上下関係はいらない
十二編 学んだら行動に移す
十三編 人の自由を奪わない
十四編 失敗を生かす
十五編 疑問を持つ
十六編 他人の価値観に惑わされない
十七編 自分ブランドをつくれ

武田鉄矢さん、ありがとうございます

③これはご愛嬌。幕末明治維新と言えば、思い浮かぶのは武田鉄矢さん。推薦コメントをお願いしたところ、二つ返事で受けていただけました。

感謝するばかりです。

もともとアツい想いで始めた仕事ですが、時間の制約があり、古文の専門家というわけではないため、かなり時間がかかりました。「なかなか誰もやらない仕事だよな」と考えつつ「サラリーマンである自分こそがやらなきゃいけない仕事だよな」という思いを支えになんとか上梓にこぎつけました。

ご支援いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。

写真はこの数年常に傍にあり続けた底本の「学問のすゝめ」の岩波文庫です。

僕の訳した「学問のすすめ」を読んだ後に、一度是非岩波文庫にも当たって見ていただければと思います。個人的な裏ミッションとして岩波文庫版がたくさん売れることも目標に入れています。実際に福澤諭吉が書いた文体に触れていただくこともそれはそれで意義のあることだと思うのです。

皆さんはどんな感想を持つでしょうか。

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