「IBMが在宅勤務を廃止」は誤報かも。

こんにちは。

ちょっと噂になった報道

先日、 北米のIBMにおいて、“在宅勤務”が禁止になり、現在在宅勤務を選んでいる従業員はオフィスに移るか、会社を去るか1ヶ月以内に選択せよ、という指示が飛んだというニュースが日本でも話題になりました。

www.theregister.co.ukこれについて、「会社を代表しない“個人”の立場」で「感想」を「メモ」したいと思います。

現在、日本で国を挙げて「働き方改革」に力を入れていて、その中でも在宅勤務の奨励はひとつのキーワードでもあるため、今回のこのタイミングでのIBMに関する報道は、それなりに議論になっていました。

大きくは

  1. ほらみろ、やっぱり在宅勤務は機能しない
  2. せっかく日本でも流れができたのに、IBMは何をしているのか
  3. いいんじゃないの、それぞれ選択があって(あんまり賛成しないけど)
  4. なんかの間違いじゃないか

といった論調だったのかな、と思います。

 実のところ…

普段、USのメンバーと働いたり、現地に派遣されている人たちと情報交換をしている者としての整理は次のようなものです。

まず、事実としては、このステートメントが、異業種から着任したばかりのCMOがMarketing部門だけに対して発信した内部ステートメントであることがひとつのポイントです。外部に向けた公式発表ではなく、また今のところIBMとしてはこの件についてコメントしていないようです。

次に、「ホームオフィス」の訳語は「在宅勤務」で正しいのですが、今日本で言われる「在宅勤務」とは意味が違っています。

日本では、

  • 早めに帰宅して介護や育児を行い、夜また自宅で仕事をするとか、
  • 子供が急病のときにも自宅で仕事をするとそれを出勤とみなす、とか、
  • 特に出社の必要がないときは自宅を含むどこで仕事をしてもよい、

というワークスタイルをさします。(個人的には、これはオフィス勤務の従業員にも当然のように与えられるべき権利だと思っています。)

一方USでの「在宅勤務」は、入社手続きのときくらいしかオフィスに出ず、一切出社を前提としていないものを指すことが多いのです。

ですから、山奥に別荘のような居を構えてしまい、時々オフィスから召集がかかると、飛行機代や出張手当、宿泊費などを会社に請求するというような事態が発生していたようです。

これに、メスを入れた、という見方を「僕は」しています。

以前も書いたように、

eitarokono.hatenablog.com単純に仕事の生産性だけをとってみれば肩を並べて隣同士にいるのと、離れたところで電話やメール、画面共有だけでつながっているのを比べると、(現在のテクノロジーでは)当然前者の方が効率がいいに決まっています。

しかし、ここでのポイントは、物理的に離れたところ(主に、自宅や病院、学校など)にいなければならない事情を抱えた人を惹きつけられる職場であるかどうか、ということなのです。

もう少し細かく言うと、顧客や株主、会社に対して価値をもたらす人材であるが、どうしても働く時間や場所に制限があるひとを仲間に加えられるかどうかという判断を迫っているわけです。

ということで。

 ですから、

上記の

「1.ほらみろ、やっぱり在宅勤務は機能しない」

というのは当たらないと思います。"機能しない”のではなく"機能させる”のが社会の義務。

また、

「2.せっかく日本でも流れができたのに、IBMは何をしているのか」

「3.いいんじゃないの、それぞれ選択があって(あんまり賛成しないけど)」については、情報の伝わり方が正しくなかった、ないしは前提の情報が共有されていなかったというところでしょうか。

 

で、僕からみて正しいな、という感想は「4. なんかの間違いじゃないか」というやつですね。

はい、「IBMが(日本でいう)在宅勤務を一切禁止した」というのは、あるいみ誤報です。

いわゆる日本でいう「在宅勤務型」のワークスタイルはこれからもIBMでは当たり前のように続けていきますし、日本においても導入する意義は大いにあるので、ご心配なく!

以上、「会社を代表しない“個人”の立場」での「感想」の「メモ」でした!

皆さんはどう思いますか?

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