落合博満著「決断=実行」

こんにちは。

取るよ。だって他にいないじゃない

僕が岐阜の片田舎で中学生をやっていた頃のことです。プロ野球ロッテオリオンズ三冠王落合博満選手が、我が中日ドラゴンズに移籍するというニュースを耳にした時、すごく驚いたとともに嬉しかったことを覚えています。

パ・リーグ三冠王を何度も取っている選手なので、プロ野球ファンだったら当然誰でも知っている選手でした。

NHKなんかでも特集番組が組まれていて、目にする機会は多かったです。

インタビューでも、

「来年は、三冠王取れますか?」

というベタな質問に対して、

「とるよ。だって俺以外いないじゃない」

という発言。有言実行、すごくかっこいいと感じました。

ただ、関東の球団でパ・リーグだと岐阜ではプレーを目にする機会はほとんどありませんでした。なので、ちょっと「遠い選手」って感じでした。

その落合選手が中日に来る!連れてきてくれた星野監督もすごいと思ったけど、三冠王がテレビで見られるのは本当に嬉しかったです。

その後の監督としての中日ドラゴンズへの貢献はご案内の通り。8年間で全てAクラス。5度の日本シリーズ出場。

僕が少年時代ではあり得なかった一言「また日本シリーズか」なんてことを言えた時代でした。

特にその監督時代について書かれた本です。監督を引かれたタイミングで「采配」という本も出されたのでそちらも読みましたが、ますます、研ぎ澄まされた感がありました。

原理原則に忠実で表裏がない

読後感としては。。。

  • 非常に論理的な方である、という思いを改めて強くしました。冒頭の「三冠王取れますか?」に対して「取るよ」という発言。これ感覚的に、かつウケを狙って発言されてたのかな、って子供の頃は思ってました。それ以外の発言も一見突拍子もなく、聞いた人が「え?」って返しそうなことをおっしゃいますが、実はその裏にはちゃんと論拠がある。
    感覚的どころか、結論を言ってから聞かれたら論拠を伝える、という非常にシンプルかつ論理的なコミュニケーションスタイルなんだな、と今になって思えます。
  • 原理原則に忠実である。色々複雑な要素が絡むことでも、原理原則を定め、そうと決めたら変えなければならない理由がない場合は一貫してこだわり続ける、という姿勢が読み取れます。
    ゆえに、極端な飛び道具や奇をてらった言動がありません。ブレもない。
    「投手交代には一切関与しない」「勝つことが最大のファンサービス」「勝ちは選手の手柄、負けは監督の責任」「オーナーに常勝軍団を作れと言われたから、そのために来た」を最後まで貫こうとされてます。
  • 発言に表と裏がない。「勝ちは選手の手柄、負けは監督の責任」なんて、言うは易し、行うは難しの典型ですが文字通りそう思っていたのだろうな、と感じられます。
    その分、責任を全うするために、その時点では非情・非常識とも取られる言動も臆せず取っています。
  • 打者時代も、天才でもあったのでしょうが、それ以上にすごく考えて練習をされていたことが分かります。そして監督になってからもついてくる選手にはものすごい厳しい練習を課したようです。やはり日々の正しい努力は裏切らないのだなと思いました。天才じゃなくても与えられた可能性を極限に引き出すことは誰にでもやれないことではないので、これは万人に当てはまると思いました。
  • そして何よりも、上記のような卓越した「決断=実行」を経て、選手・監督を通じて飛び抜けた結果を出したところ。これが最も説得力ありますね。
    若い頃は色々なことにチャレンジされたようですが、落ち着き先としてプロ野球という活躍の場に身を置いて、それを突き詰めたところは見習わなきゃいけないな、って改めて思います。
    この点は特に今の自分に取って重要なメッセージだったように思えます。

まあ、もともとファンなので贔屓目に読んでしまっているかもしれませんが、プロ野球ファンや中日ファン、落合ファンじゃなくても、読んで意味のある書籍のように思いました。

人生の恩人のひとり(会ったことないけど)

最後に余談ですが。。。

この落合さんも、実は僕の人生に大きく影響を与えた一人なのです。

僕は高校一年の秋に突然「東大?行くよ。だって他にいないじゃない」と聞かれもしないのに、あちこちで宣言をし始めました。

焚き付けた恩師も恩師ですが、調子に乗った僕も僕。当然イメージはあの「落合節」です。

冒頭の「三冠王?取るよ。だって他にいないじゃない」に”表面的に”影響を受けて、真似をしたわけです。

当時は東大どころか、大学に行けるかどうかすら怪しいレベルだったので、大いにバカにされましたが。

高校生の僕は落合さんが、周りに宣言をして自分を追い込むために「三冠王」発言をされていたと誤解しており、裏で発言に足るような綿密な思考と人並み以上の努力をされていることには目がいっていませんでした。

ま、結果的に想像を超えるような努力をするハメになったので順番が逆だっただけのことですが。。。(同時に100メートル自由形で1分を切るという宣言もしてしまい、さらに自分の首を絞めました。)

あの宣言がなかったら今の自分はありません。落合さんに感謝です。

だからこの人のことが好きなのかも。

ぜひ手にとってみてください。

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