日経ヒューマンキャピタル(Nikkei Human Capital)に見る人事・HR Techの変化

こんにちは。

日本の人事の動向

IBMに戻って今の仕事を担当してから3年目となります。正確にはちょうど2年半が過ぎました。

戻った初年度からIBMが日経ヒューマンキャピタルという、人事や育成、組織開発などをテーマにしたイベントのスポンサーをしています。

ヒューマンキャピタル 2018

そのため、毎年パネルディスカッションのパネリストとして議論に参加させて頂く機会を得ております。

大企業の人事担当役員クラスや経営者の皆様を中心とするメンバーから構成されています。

またそれに先立ち、同じメンバーでステアリングコミッティとして、学者の先生主導の事前トーンセッティングにも参加させて頂いております。

今年と去年は一橋大学の一條先生が議長でいらっしゃいました。

一條 和生 | 教員の紹介 | 教員プロフィール | 教員紹介と研究情報 | 一橋大学大学院経営管理研究科 国際企業戦略専攻

ステアリングコミッティの様子は、週刊日経ビジネスでも毎年掲載されています。

3年前の時点から、女性活躍推進やダイバーシティの観点からの議論はされていました。エンゲージメントという言葉も出ていました。

そして昨年からは働き方改革というキーワードも出てきました。

しかしまだ、テクノロジーという観点ではほとんど議論がありませんでした。

HR Techという言葉がクローズアップされはじめて数年経ちますが、パネルディスカッションでは、まだ人事とテクノロジーは遠いもの、という扱いだったのです。

IBMとしてお話しすることも、女性活躍推進やダイバーシティインクルージョン、ワークライフインテグレーション、といった観点での「先進事例」をお話していました。

HR Techの”扱い”の変化

僕はIBMの立場で参加しているで、当然コグニティブ、AIという文字通り旬な話題に振ろうと動いてはみるのですが、反応は(僕の立場から見ると)イマイチだったのです。

スルーされたり、意味をわかっていただいていなかったり。

それが、今年は一変しました。

ステアリングコミッティでも、僕が話を振るまでもなく、人事へのITの導入、とくにAI導入に関して、参加企業の皆さんからの積極的な発言が相次ぎます。そしてIBMへの期待感もひしひしと感じます。

同席されていた一條先生も「今年は非常に大きな変化を感じる」とおっしゃっていました。

とあるレポートによると、日本におけるHR Tech市場は対前年比40%以上の伸びを示している市場だそうです。

今時なかなかこの数字は聞かないですよね。

IBMアメリカの僕のボスによると、ベンチャーキャピタルの投資先はHR Techにかなり集中しているとのこと。

改めて大きなうねりを感じます。

これまで企業における人の領域は「重視」されつつも、具体策が伴わない状態が続きました。例えば、中期経営計画には明確に記載があり、経営者の発言の中には「人こそ全て」とか「当社は人を大事にする」と言ったコメントがありながら、それを推進するための予算はほとんどつかず、「人事のメンバーの自助努力」に頼るというような状況です。

それがここ数ヶ月、中堅企業やスタートアップだけではなく、大企業でも本気で勝ちを目指す企業の中では変化があったわけです。

当然IBMだけの力でこの流れを推進できるわけはありません。会社の枠を超え、この機運を高めていきたいと考えています。

そうすると、会社に所属して頑張っている人たちがより良いキャリアを送れるようになるんじゃないかと本気で思っているのです。

今年の日経ヒューマンキャピタルにも期待しましょう。

皆さんの組織では、どんな様子ですか?

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