既得権は実際の7倍の価値に感じる!? 〜NHK連続テレビ小説「マッサン」をみて感じた創造や変革の難しさ〜

こんにちは

NHK連続テレビ小説「マッサン」、録画したりして最近よく見ています。

言わずと知れた国産のウィスキーを生産までこぎ着けた竹鶴の創始者の方をモデルにした実話に基づくお話です。

物語は11月はじめ時点では、まだウィスキーの良さについて周りの賛同を得られず工場設備の投資に反対され、生産のめどが立っていない状況下で、主人公が奮戦する様子が描かれています。

保守的なのは人情

やはり、新しいことを始めると周りはなかなか分かってくれないものですよね。それを巧く説明して賛同を得るのがリーダーだろう、という指摘もあるでしょうが、新しく物事を創造したり、現状を改革したりするのって、やはり難しいです。

分かってもらえるように語ったり、分析して根拠があることを示したりするのは労力がいるため「無駄になるかもしれない」と思うとその準備に着手するのを逡巡するのは人情です。

僕たちは国産ウィスキーがその後成功したことを知っているので、ドラマの中でウィスキー生産に反対する人を見て「なんと先見性の無い...」と感じてしまいがちですが、ふと冷静に考えると、自分があの場にいたら反対していたのかもしれない、と思います。

なにしろ、初めて見るもので、できるかどうか分からないものに大金を投資しろ、と言われている訳ですから。

授かり効果

授かり効果(下記参照)という考え方があるそうです。

授かり効果とは - MBA用語 Weblio辞書

もともとは交渉述のなかで使われる言葉ですが、今保持しているものや享受している状態の価値は、新しいものと比較して7倍の価値に感じられるため新しいものを7倍に見せなければならない、という解説が続きます。

今の状況を変えたくない、という本能が働く点においては、新しいことに対する違和感や反対の感覚は同じような動機から来ていると感じました。

いくら言葉で説明してもなかなか賛同が得られないものは、形にしてみせるのが手っ取り早かったりします。

そんな中でも出現するサポーター

今まで僕もウィスキー生産ほどではありませんが、新しいやり方を提案・実行することが多かったのですが、ある程度説明した後はやってみせるしかない、という状況もよく経験しました。

経験からいえることですが、不思議と「やってみせる」過程で、まだ結果が見えていないにもかかわらず、ほんの少数ですが理解してくれて、助けてくれる人が現れたりするのです。まるで奇跡のように感じたりします。

賛同してくれる人は、すごく柔軟性のある人であったり、過去に同じように創造や改革に取り組んだ経験のある人だったり。まちまちですが、力強く頼もしく感じるものです。

最初はしぶしぶ業務上しかたなく支援していた人だったり、賛否どちらでもなくどうでも良いと思っていた人が変わっていくこともあります。そういう人を一人、また一人と増やしていく過程も面白みがあるのではないかと感じます。

やっぱり人を動かすのは「持続する意思」

そういう人を増やしていくためにはどうしたら良いか、という問いが出てきます。

矮小化する訳ではありませんが、帰結するのはやはり「やる気」「情熱」といった言葉であらわされる「そこに向かおうとする意思」だろうと思います。

そのような意思を持つのも難しいし、継続するのも大変だろうと思います。それ故に価値があるのでしょう。

そして、持ち場やレベルは違っても「意思を持つ人」でありたいとも思います。

先述の「マッサン」のなかではヒロインとして描かれるマッサンの奥さんのエリーが初期のサポーターでした。文字通りマッサンの「国産初のウィスキーを作りたい」という情熱に賛同し、人生をかけて支援した一人なわけです。

これから一人、二人と賛同する人が増えていくのでしょう。

その過程を楽しんでいきたいと思います。