インド人嘘つかない!? 〜「嘘」の定義にもいろいろある〜

こんにちは

もう半年以上前のことですが、USにすむインド人の方に事実とは異なる嫌疑をかけられかなり面倒なトラブルになったことがありました。

まあ、これはきっかけにすぎないのですが、その時に頭をよぎった

『「インド人嘘つかない」っていうけど、それ自体嘘じゃないか!』

という僕の心の叫びが、ネット検索へと向かわせました。
(一応補足しておきますと、当時、あらぬ嫌疑をかけられて感情的になっていた側面があります。当時もその後も一緒に働くメンバーでインドの方は多いですし、非常に仲良くやらせて頂いています)

いろいろ調べてみると、どうやら「インド人嘘つかない」という表現は、昭和40年代から50年代にインド人で日本語ペラペラのナイルさんという芸能人の方が、日本のテレビなどで使って親しまれたフレーズらしいです。いわゆる当時の流行語です。

西部劇で「インディアン嘘つかない、白人嘘つき」という有名な字幕フレーズがあるのですが、それをもじったものかもしれません。

日本人の方が嘘つき!?

その流れで、「嘘つき国民ランキング」のようなサイトに行き着いたのですが、なんと日本人がかなり上位にランキングされていて、ショックをうけました。

そこで考えたのは、この場合の「嘘」の定義です。

通念としては、「嘘」は「(約束した)事実と異なること」だと思います。

もし、これに照らし合わせると「日本人嘘つき」という日本人以外の方からの評価は少し思い当たる節があります。

例えば、アメリカ人上司から「この案件は今期中に締結できますか?」と尋ねられた日本人Aさんが「はい、がんばります」と答えたとします。

そして期末に、必死に頑張ったけど残念ながらお客様都合で来期に流れてしまったことが分かりました。日本人Aさんとしては「努力したけど、ダメでした」という報告をせざるを得ません。

頑張ったけど出来なかった、は嘘か?

日本人の感覚ではこのAさんには基本的には罪は無く、それどころか必死に頑張った人、とポジティブな評価となる可能性すらあります。

しかし、このアメリカ人上司を含む日本以外の人の感覚だと「嘘つき」になるのでしょうね。「やる」と言ったことをやらなかったからです。

日本人としては、言葉に現れた「事実」より、本人の「思い」の方を優先させるのではないでしょうか。「今期内に締結する」と言った時には、一点の曇りも無く努力をする気持ちを表しているのです。Aさんに罪はありません、と。

この「気持ち」に対して「嘘つき」呼ばわりする方が罪がある、と。

「嘘」の定義も文化によって異なる

この推論が正しいとすると、異なった定義に基づく「嘘つき」ランキングをみるにつけ、日本人コミュニティと異なるコミュニティの人たちと仕事をする時には十分配慮しなければならないポイントですよね。

「事実」にベースを置くか、発言者の「思い」や「気持ち」にベースを置くか、の違いです。

冒頭に触れたUSに住むインド人の場合、彼の上司の「意図」をベースにおいて、事実と異なる情報に基づいたアクションをとったのでしょう。国民性というよりは個人の置かれた環境だったのでしょう。
ですので、彼としても「嘘つき」呼ばわりされるのは心外かもしれませんね。

さてさて、みなさんはどう思いますか?