文学と実用書 〜年末年始は読書のシーズンですね〜

こんにちは。

つい最近、短期的な目標ではなく、人生の目標とか、キャリアの目標とかって考えた時にどんな刺激を受けるとそれが見つかったり、より確実なものになったりするんだろう、って考える機会がありました。

若者が「何のために勉強をやるのかわからない」「大学に行きたいと思えない」「キャリアが見えない」「人生の目標が分からない」という悩みを抱えた時に、向かうべき相手は、今も昔もやはり「本」なのではないでしょうか。

先日も、僕がお世話になっている出版社Discover21のクリスマスパーティに出席したのですが、はじけた余興の直後に一転してハイレベルなコメントで毎年を締めくくってくださる干場弓子社長が「書店の店頭はその国のレベルや勢いを示す写し鏡だ。本の役割はまだまだたくさんある」という主旨のことを仰っていました。

僕もそう思います。

で、悩み多き者(必ずしも若年者を指さない)が向かうべき本とはどういうジャンルがあるのでしょうか?

僕が社会人になって間もない頃、日々いろいろな活字を読んでいました。

日経新聞から週刊日経ビジネス日経情報ストラテジー、ダイヤモンドハーバードビジネスレビューから、プレゼンテーション、ロジカルシンキング、リーダーシップ、財務経理マーケティング...

にもかかわらず

「最近どんな本読んでる?」

なんて聞かれると、

「いや、本と呼べるものは全然読めてない。。。実用書ばかりだ」

などと嘯いていたりしました。

人文科学の出身者の矜持として、「本」と呼べるものは文学だけなのである、という看板を下ろしたくなかった節があります。

ようするに、カッコつけたかったのです。

当時は「じゃあ、実用書と文学、それを必要とするシチュエーションという意味でどんな違いがあるのか?」という問いには答えられませんでした。

今回、若者の悩みに接するという機会を得て、今改めて考えてみると、現時点での僕の勝手な解釈はこうです。

実用書:目標が明確な場合に読むもの

文学:(人生の)目標を探すために読むもの

人生の方向性に悩んでいる時にはプレゼンテーションの本はあまり重要ではありません。「悩んでないで、とりあえず簿記やっとけ」というのも答えのようで答えではありません。

一方で、一旦会計士になりたい、と目標を決めたのならば、会社法や税法の本を手に取るべきタイミングなのかもしれません。もちろん、会計士になるのは短期的な目標なので、その先に何を目指すか、という問いは依然としてあるわけで、文学から完全に遠ざかることはできないわけですが。

だから、先ほどの悩み多き若者は実用書ではなく文学書を手に取るべきタイミングなんでしょう。

環境も刻々と変わります。僕たち当人も年を重ねフィジカルにもメンタルにも変化していきます。ってことは一度決めた人生の目標も、常に鮮度を保ったり、バージョンアップすることも必要だと思います。

ってことは、ってことは...文学から離れることは人生を通してありえない、ということなんでしょうね。

 皆さんは、どんな本をこの年末年始に手に取られるのでしょうか。

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緊張状態から解放されると体調を崩す?

こんにちは。

「緊張が緩んだ」時の体調不良

よく、大仕事を終えると、脱力してしまい体調を崩すということを聞くことがあります。皆さんはそういう経験はお持ちでしょうか。

これ、科学的な根拠があるかどうかは分かりませんが、経験的に、そういうことってあるんじゃないかな、って思っています。

何かに集中している時は気が張っているため、睡眠不足や多少の疲れ、痛みなども特に気にならず過ごせます。

しかし、その集中が途切れた瞬間に堰を切ったように諸々溜まっていたものが表出してしまうという経験を何度かしたことがあります。

30歳前後の体力が充実している時に、400日くらいを一気に駆け抜けた(表現や実態はともかく、要はずっと仕事してた)ことがありました。

大変だったけど、まだ子供も生まれたばかりで転がっているだけだったし、キャリアの重要な時期にやりがいのある仕事ができたので、大変貴重な財産を築けたと思っています。

が、その仕事を終え、次の部署に異動した時になんだか背中が痛いな、体調が低空飛行だな、と思うことがありました。

なかなかそれが治らないので近所の内科に行ったら、肺炎だと言われました。

その後2ヶ月ほど微熱が続いて低調な日々を送ったのを覚えています。

これは、張り詰めていた緊張の糸が緩んで、ちょっと気が抜けたのが原因じゃないかと思っています。

また、先日かかった菊池病も四半期が締まったその日に発熱したのもなんか無関係ではないと思います。

悪くならないような対策

こういう経験を「大変だった」で終わらせては単なる「経験豊富なおじさん」に終わってしまいます。

同じことを繰り返さないように、または大ごとにならないように対策を行える「知恵のついた大人」でありたいと思う今日この頃です。

で、つい先日も実は「ヤバイな」と思う瞬間がありました。

公私ともに緊張を伴うことが連続し44歳でなくても、かなり無茶しているな、という時間を過ごしたのです。

時間としてはたった一週間程度ではありましたが、最後のイベントを終えた時に、それまで気が張っていたのですが、突然ガクッと来ました。

「お、来たな」という自覚があったのです。

体の筋肉とか視覚とか、循環器とか呼吸器、消化器とかが全部機能低下してるな、と思える状態でした。

季節も季節です。都会に生活していれば人混みも避けられません。

そこで、最近覚えたものも含め、食事・服装・休息・行動など知っているありとあらゆる対策を打つようにして、たとえ起きている時間であっても横になってなるべく体力の消耗を抑えるという時間をとり、集中的・かつ計画的にに回復を図りました。

そうするうちに、段々回復が自覚できるようになります。勢いがついてくると冗談ではなく1時間ごとに回復しているのを感じられます。

ということで、なんとか厄介なことにならずに済んで完全復帰することができました。

こういう時は、思考力や判断力、記憶力など脳の動きも低下していることが多いと思うので無理に何かをしたりせず休めることって重要だな、と改めて思いました。

それは最新刊「99%の人がしていない たった1%のメンタルのコツ」にも書いたとおりです。

ただ、よーく考えてみると、不可抗力の部分はさておき、体調の底が訪れるほどのスケジュールを詰め込まない、という知恵があれば、そもそもこういう事態にはならないんですよね。

自分の体力や体調との相談は自分でしかできませんので、自分の責任でちゃんと事前対策を打って参りましょう。

皆さんはどう思いますか?

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まずは「入れ物」から変えてみる

こんにちは。

ちょっと事情があってブログのアップデートが数日遅れました。

カバンが小さくなって持ち物を見直し

たまたま最近、タイミングがあって仕事用に使っているカバンを変えました。まあ、年相応というか、少し落ち着き目のものに変えたわけです。

でも実は困ったことがありました。

今まで使っていたものよりも、一回り小振りになったのです。

ということは、入れているものを減らさなければなりません。いままでも無駄なものを持ち歩いていたつもりはないので「移し替えるのは、不可能なのでは?」という不安がよぎりました。

で、入れ替えの作業のときに見直してみると、なんだかんだ余計なものを入れていたりしたのが分かったわけです。

たとえば、ボールペンが複数入っていたり、何かの時にはもしかしたらサインペンがいるかもしれない、なんて思っていつも持ち歩いていたり。

箱から出して持ち歩けばいいものをご丁寧に箱に入れたまま持ち歩いていたり。

なので、結構持ち歩く中身を見直す良い機会になりました。

残業キャップにも意義がある

そこから連想したのは、やはり本稿のテーマであるホワイトカラーの生産性向上に関連するネタです。

僕は実は残業時間の上限とか、早く帰りましょうキャンペーンって、ある程度有意義だと思っています。

何だかんだ言って無理難題を与えられればその分、現場力で工夫して乗り越えるのが得意な日本の組織。過去、エネルギー政策の転換、オイルショックや急激な円高も、その他の追い風があったとはいえ、現場の工夫で乗り越えてきたように思います。

その当時は”無限”と思われていた労働力という資源が、今回はテーマなだけです。

同じようにシステムの入れ替えも、今の業務をそのままシステム化するのではなく、ベストプラクティスと呼ばれるお手本をもとに今当たり前だと思っているやり方を変えてみる工夫の方に時間や労力などの資源を使ってみると良いのではないかな、と改めて思います。

働き方改革の件も、縛りがあれば知恵を使う。だから意図的に縛りをつくり出すのだ。という風に考えられないでしょうか。

カバンを変えた時に、そんなことを思いました。

皆さんはどう思われますか?

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「現場力」を使った「個別最適」は日本の組織の得意技

こんにちは。

今日もちょっとテクノロジー(?)の話題です。

日本の組織とRPAの相性

 二週前に本稿でコメントしたRPA(Robotics Process Automation)を主題にしたセミナーに行ってきました。

RPAとは、非常にシンプルに言うと今のホワイトカラーの業務大体させるロボットのこと、もしくはそれにむけた取り組みのことです。

eitarokono.hatenablog.comセミナーで学んだことを受けた結論として、予想はしていましたがかなりの部分でRPAは今の日本の組織にとっては、効果を発する可能性を秘めていると感じました。

日本の組織の特徴としてよく言われるのは、意思決定が遅い、全体最適を苦手としている、といったものですが、RPAはその弱点を回避しています。

すなわち、大きな意思決定を必要とするほどの投資規模ではなく、会社を取り巻く外部環境、全体の方向性や戦略、会社のミッションといったもの考える必須もなく、現場の課題意識さえあれば、ドンドン”現行”作業の効率化を図れるものです。

これが、働き方改革や人不足といった今の時流にも合致しているので、組織として着手しない理由がありません。

ブームになれば一気に火がつく日本の組織特性も相まって、一気に進むのではないでしょうか。

根本問題は解決しない

一方で、チャレンジもあるな、と思いました。

日本の組織の特徴として挙げた、いわば「永遠の課題」である意思決定の遅さや全体最適を苦手とすることは、RPAを一気に導入することでは解決しないことです。

やはり残り続ける課題です。

例えて言えば、いくらダイエットして体が軽くなったり体質も改善されても、頭を使わなかったり、瞬発力を鍛えなければ競争にはやっぱり勝てない、ということです。

まあ、そもそもRPA導入と意思決定早期化や全体最適とは、目的が違うので解決もしようがないです。

何かアクションを取る前に、「そもそも」を解決することだけを声高に叫んでいるだけでは前に進まないので、何もしないよりはRPA導入に邁進した方がいいです。

これは、私が先日参加したRPA Summitに出展された導入事例企業やそれをサポートしたベンダー企業などが口を揃えて発信されていた達成感・課題感と一致します。

RPAを現場が導入する過程で「現場に改革意識が芽生える」もしくは「RPA導入によって浮いた時間をいかに有効活用するか」という点です。

このチャレンジをうまく乗り越えた組織が、次のステップに進めるようになるのではないでしょうか。

まずは着手する

まずは、四の五の言わずにRPAを早期に導入して、現場の”現行”作業の生産性を挙げることに集中する。そして、それによる余力をよりイノベーティブな方向に向ける方策を検討するのが、今の日本のリーダーの優先事項なのではないかと思うのです。

みなさんはどう思われますか?

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みんなが一気に動く瞬間には感動する

こんにちは。

先日、チームで仕事をしていて「ちょっといいな」と思う瞬間がありました。

設定としては、クライアント側から指定された時間に、オンラインでのプレゼンに参加する機会があったのです。

もちろん、中身についてはここでは触れられません。

嬉しかったのは、世界中の同僚たちが二つ返事で協力してくれたことでした。

ある人は現地時間の朝4時半。ある人は現地時間の夜10時半。

ドイツ、アメリカ、オーストラリア、インドそして日本のメンバーが集まって一つの目的のために行動したわけです。

もちろん、二つ返事といっても内心は「おっと〜、朝4時半!?」なんて思ったことでしょう。

逆の立場ならそう思うので、頼む側としてもすこし遠慮がちにおねがいしました。

昨今は通信技術が進んだため、費用と時間と体力をかけて移動をする必要が無くなったとはいうものの、地球の時差だけは今のところどうにもなりません。

日本側も夜の9時半だったのですが、他と比べれば贅沢は言ってられないですよね。

事前準備の段階では「必ず起きてね」とか「最後まで起きててね」と冗談半分に念を押したりしました。

どのメンバーとも、普段からメール等でやりとりはあるものの、顔をあわせて同じ空間にいるわけではありません。

なのに、声をかけれればチームとして成立するのです。

ちょっと気取った言い方をすれば、ただ一つ、我々が共有している「お客様の成功に全力を尽くす」という組織のコアバリューにもとづいて集ったんだろうな、と思います。

シンプルで、ちょっとした出来事なのですが、いい組織に所属してるな、って思う瞬間のひとつです。

みなさんは、こういう経験はおもちですか?

 

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新しい概念に触れるとき RPAとホワイトカラー

こんにちは。

今回も、人に紹介されて手に取った本を元に思ったことをメモしてみようと思います。

「RPA革命の衝撃」という本です。

RPA革命の衝撃

RPA革命の衝撃

 

もともとRPA(Robotic Process Automation)という言葉は知っていましたし、この書籍が出る2016年末頃から、お会いするコンサルタント職の方からよくお聞きするキーワードでした。

とはいえ、既製のソフトウェアを販売するというIBM内の僕のミッションとは直接のビジネス上のつながりが直感的にイマイチ見出せず、入っていくことをためらっていたというのが実際のところです。

とある機会からこの書籍を紹介され、「IBMにおけるミッション(Kenexa / Watson Talentの国内展開)」と「個人のミッション(ホワイトカラーの生産性向上)」両面の視点から学んでみよう、と言う気持ちになりました。

RPAって?

RPAとは、ごくごく簡単に言うと、今まで人間が手間をかけてやらざるを得なかった業務をソフトウェアロボットが代替する、と言うものです。

従来のシステム化と大きく違う、とされているのが、この自動化がホワイトカラーの領域まで入ってきている点です。

僕なりの言葉で言うと、この違いは「従来はコストや時間、品質の観点からそもそもシステム化に向かない、と考えられていた領域に踏み込んでいること」と理解しました。

深く踏み込むと本稿の目的を超えるので細かいところには入りませんが、実は、僕の中ではここまで整理できれば、一つの結論を得たのかな、と思っています。(もちろん、書籍はより深いところまで入っていますし、事例なんかも興味深いものが出ていますので、ぜひご覧ください)

RPAは今後のホワイトカラーにとっては、無縁でいられないもの。仕事の中で場合によってはこのRPAに関与することがクリエイティブな仕事の中心になっていく可能性が高いもの、というのが僕の見立てです。

(こうやって自分で記録に残すことで、後々振り返ってみてこの予言めいたコメントが結果どうであったかを、数年後の自分に課したいと思います。)

「新しい(?)」概念に触れるとき

このRPAに限らず、世の中は常に環境変化にさらされていて、新しい概念が様々な意図を持って世の中に出回ります。

こういう時の身の処し方については僕は次のように考えています。

結論から言うと「まずは接して、試してみる。そのときに自分ごととして考えてみる」と言うものです。相変わらず当たり前すぎてすみません。

過去20年の経験から得たものとして、「新しい概念」と言うのは、100%が無から有ではなく何か既存のものにプラスアルファのアイデアを盛り込んだものである、と言う点です。

その文脈でいうとこのRPAも、

「なんだ、今までのXXに毛が生えた程度じゃないか。もっとすごいことができると思っていた」

「まだまだ実証段階。うちは評価が固まってから導入だな」

と先送りすることも可能な概念です。

実は僕もこうなっちゃいけないな、と思って今回この本を手に取ったクチです。

また逆に

「これを実行すると、人の仕事が機械に奪われる。人類を幸せにしない概念だ」

などと極端に解釈して、自分ごととして考えることを放棄することもあるべき態度ではないと思っていますが、人間どうしてもやってしまいがちな態度です。

当面は人間のやること一杯あるので、天が落ちてくることを心の底から心配する杞の人みたいにならないようにすることの方が大事だと思ってます。

IBMにおけるミッション(Kenexa / Watson Talentの国内展開)」と「個人のミッション(ホワイトカラーの生産性向上)」の両面から見た検討結果としても、もう少し深入りして考えてみたいなあと言う結論に至りました。

と言うことで、近場にいる有識者の人たちに色々聞いて回りたいと思いますので、いきなり質問するかもしれませんが、その時は宜しくお願いします。

また、以下の勉強会にも参加してみようかと思っています。

rpa-bank.comみなさんは、どうお感じになりますか?

Back to Basic 「優れたリーダーはみな小心者である。」

 

こんにちは。

すすめられて読んだ本

二週間ほど前に、ある方からお薦めいただいたことが切っ掛けで、ブリヂストン元CEOの荒川詔四さんの著書「優れたリーダーはみな小心者である。」を読みました。

優れたリーダーはみな小心者である。

個人的には非常に感銘をうけました。

というのも二つほど理由があります。

  1. よく自分が唱えていることと近いことが書かれていたことが一つ。
  2. もう一つが、それをさらに延長して「なるほど、それもその通りだ」「こう言う表現がいいのか」と気付かせて頂けることが多かったこと。

これらは全て、14万人のグローバル企業を引っ張った実績を通して語られているため説得力が高いです。

全ての人が14万人引っ張るわけではない!と言われるかもしれませんが、ご安心ください。入社2年目社員の頃の失敗談なども含まれているので、全く「遠い話」とは感じさせないと思います。

全体を通じたキーワードは、タイトルにもなっている「小心者」や、「臆病者」「心配性」といった、従来の概念では優れたリーダーとは真逆にあたるような言葉です。
特にこれが一貫した、この著作の差別化要素としての主張点でした。

逆説的ではありますが「なるほど、だからこんな行動が可能になるのか」と思わせる内容だったのです。

書籍の存在は知っていましたが、タイトルがあおっていた感じがしたので、手に取るまでに至りませんでした。すすめられて初めて手に取ったわけです。

著者のことも存じ上げないまま、勿体ないことをしていました。

読んで感銘を受け、それ以降講演やセミナーなどでもこの書籍について言及するようになりました。

幾つか心に残ったポイントを少し。

補佐は最高のリーダー育成方法

荒川さんは、ブリヂストンアメリカのファイアストーン社を買収した時には社長補佐をされていたそうです。この期間を通じて、リーダーとしての行動や心構えを学んだということでした。

社長補佐というのは社長の分身として現場とのパイプ役になったり、社長がスムーズに判断やメッセージングをするための支え役になったりする仕事です。

僕もあるエグゼクティブの補佐をやったことはあるのですが、その活動を通じて大きな組織を引っ張ることの大変さを感じることができたし、彼我の差が明確になり自分の課題を理解することもできました。同時に理想のリーダー像が明確にもなりました。

ということもあり、この主張には非常に親近感を持ちました。

一定以上(従業員数1000人とか?)の規模の会社や事業部のトップは秘書以外の補佐機能を持って、自分の業務をより円滑に進めるようにするとともに、そのポジションを担当することを通じた人材育成は有効かもしれません。

当たり前のことを繰り返し

特にリーダーからのメッセージングの話の時に、当たり前のことを繰り返して伝えないと、伝わらないというコメントがありました。

荒川さんの年頭の挨拶などは、毎年代わり映えのしない原理原則を繰り返し説く内容だったそうです。

そして、ありがちな流行言葉の入った美辞麗句だけのメッセージを荒川さんは否定します。

僕もよく、「改革」は大変なことではあるが飛び道具が全てではなく、当たり前のことを確実にやれるかどうかがポイントである、とお伝えします。

教科書に書いてあるような、当たり前のことを着実にこなせる組織は、流行言葉になるような「飛び道具」を与えられても使いこなせる可能性はありますが、その逆はありえません。

基本に忠実に、というのはこの書籍全体を通じたメッセージでもあるように感じました。

合目的・原理原則

「合目的」という言葉が出てきます。これも普段僕が使っている「目的合理性」と同じ意味です。

その行動は、目的に合致しているか、を常に考えている人が多ければ多いほど、その組織は滑らかに動きます。

ビジネスはつまることろ、ここだと思うのです。

そしてこの当たり前のことが、なかなかできないのが組織です。

目的を追求するためには、その付き合い残業・アピール残業は意味があるのか?

その差別発言や個人攻撃は、目的に合致したものなのか?

日々あるトラブルは目的や原理原則に照らせばかなりの部分解決します。

究極的にはすべての人が目的合理性を追求している前提に立てば、リーダーは目的・原理原則さえ方向付ければそれでよいはずです。

方針を示さずに

「あの方針は決めたけど、人に言うものではない」

とか、「右ですか、左ですか」と問われ

「右でもあるし、左のケースもある」

というのはリーダーの発言ではありませんね。

そんなやついないだろう?と思う人もいるかもしれませんが...残念ながら実在します。

原理原則をしめさないと、集団は何を方針に動いていいか分からないので、合目的もなにもあったものではありません。烏合の衆になってしまいます。

「オレはお前らくらいのとき、もっとキビシいことをやらられてきた」というのはリーダーがもっともやってはいけないこと、として記載されています。

この類のはなしは過去の自慢話や懐古話に過ぎず、何の根拠にも教訓にもならないことだと書かれていて、これについても我が意を得たり、と思った次第です。

 

このように、当たり前のことを着実にやってきたリーダーがいた結果ブリヂストンは世界に冠たる会社になったとも言えるのではないか、と感じた次第です。

時を置いて、また改めて読んでみたい本が一つ増えました。

皆さんは、どう思われますか。